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空一面を赤トンボの群れが埋めている、などという光景はとんと見られなくなってしまった。 そのトンボの空の下には、一面の稲田が広がっていて、その角には、頭に赤トンボを乗せて赤いよだれかけを掛けたお地蔵さんが立っていた。 今、そのお地蔵さんは、住宅街の外れに寂しげに立っている。 トンボが多いということは、それだけきれいな水辺が多いということでもある。それだけ、豊かな自然があったということだ。 大昔、この国は「秋津島」と呼ばれていた。秋津とはトンボ(蜻蛉)のこと。 神武天皇が山の上から国の形を見て、「蜻蛉(あきつ)が交尾しているごとく、山々が連なり囲んでいる」と言ったところから「秋津島」という名がついた、という話が、日本書紀にあるが、まっさきに国の形の比喩として使われるほどトンボが沢山いたということだろう。 また、この国が「秋津島」と呼ばれるほどの豊かな島になる日はやってくるのだろうか。田んぼばかりか、海すらも鉄板で断ち切ってしまうような馬鹿な人間達が大きな顔をしている限り、そんな日は二度と巡ってこないのだろうな。
by htmkuromame
| 2004-09-16 18:45
| 雑多な感
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