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ビデオ屋に行って、棚に残っていなければそのまま帰ってきたのだが…DVDは空だったが、あいにくと、ビデオの方が1本残っていたのだ。 もちろん、ひとりで見るのは評判通りだとかなりあぶない(別に体調は悪くならないだろうが、途中で放りだす恐れはある)と思われたが、ちょうどSF仲間の集まりがあったので彼らを犠牲にして一緒に見ることにした。 すでに、2人ほど劇場で観てしまったという人間が居たが、もう一度おつきあいを願った(まあ、うちのSFの会に入ってすでに10年以上過ぎている人間ばかりなので、たいていのことには耐性が出来ているから、映画を見たくらいでどうこうなる人種ではない)。 感想 「う〜む、これを金を取って劇場で見せてはまずいのではないか」 だけでは、あんまりなので…。 まず、筋立てなのだが、原作と比べてどうのこうのという以前に、脚本としての体を為していないのではという気がした。この、まったく盛り上がりどころのない話の展開のしかたは何なのだろう。 単なるエピソードの羅列だけでは、「面白いお話」になるべくもない。 (ほんの一例だが…途中から、日本はどこかと戦争をはじめたらしいのだが、それを伝えるのは、何故かアメリカのニュースキャスター役のボプ・サップの街頭テレビだけで、画面には戦争をしている最中という緊迫感はまったく感じられなかったりする) 次に俳優陣だが、主役(だよね?)の不動明を演ずる伊崎央登(これはまあ、双子のせいか飛鳥了を演ずる伊崎右典も似たようなものなのだが)が、役者としての基礎がまったくできていないので、物語を引っぱっていく力があまりにも弱すぎるのだ(だから、途中から誰が主体の話なのかだんだんと判らなくなってくる)。 格闘シーンで、吐息程度の声しか聞こえない映画というのはじめて見た(シレーヌをやっている冨永愛の方がよほど声が出ている)。演技がだめなら、せめて体だけでも鍛えて欲しかった(土台の体が貧弱だから、特種メイクがよけいしょぼく見えてしまうではないか)。 他にも、いろんな役者が出ているが、これといって特筆する演技をしている人間が居ない(かの本田博太郎氏でさえ、怪演のしどころがなく終わってしまっている)ので、主演者ばかり責めるわけにもいかないが、監督は、彼ら(とくに若手)の演技について何も言わなかったのだろうか(そんなことはないだろうなあ…)? 演技がだめなら演出で見せてしまうという力技もあるのだろうが、その演出も変である。 例えば、デーモンバスターズが、不動明をつかまえるシーンでは、彼が変身しただけなのに手にした銃をだれひとり撃とうともしないで、ただただ腰を抜かしたりしているのである(君たちは、デーモン捕縛に来たのだろう?よそでは、さんざデーモンや人間を殺してきたのだろう?)。 そんなちぐはぐな展開の連続なので、誰が強いのか弱いのかメリハリがまったく感じられないのだ(学生の作った自主製作映画でも、最近はそれなりの演技や演出ができていることが多いのになあ)。 デーモン達も、人間に比べて特別どこか強そうにも見えないので、何のための存在(映画にとっての)なのかよく判らないままだった。 CGがゲームの画面並なのは、まあ予算の関係なのだろうなあ(全編アメリカ映画並の画面を作ろうと思えば、今の日本では、せいぜいCMの長さ程度の時間内に収めるしかないのかも知れない)。途中で、唐突にアニメーションがはさまれたりするが、あまり効果は上がっていない。 美術も、特に見るところもなく、終盤にさしかかって戦場の廃虚が出てくるのだが、あまりにもセット然としているのでさびしくなった。 編集しなおせば少しは見られるものになるか?とも思うが…、いくら組立て直しても、素材が悪ければどの道それ以上のものにはならないのかもしれない。 と、感想はこんなところかな。 世間の評判が悪すぎるので、逆に少しはいいところもあるかもしれないと思って見ていたのだが、残念な結果ではあった。 まあ、見終わって落ち込むというほどのものではなかったが(落ち込むには、もっともっと「負の迫力」が必要だ)、これを劇場で見てしまったら、金と時間を返せ、と言いたくなるだろうなあ(TVのスペシャルドラマかなにかで、ねっころがって見ているには、まあいいかもしれない。飽きたら、チャンネル切り替えればいいだけだから)。 みんなで見ながら、突っ込む、という方法もあるかと思ったのだが、突っ込みを楽しむためには、対象にある程度のクオリティーがないとだめだということもわかった。 「見てはいけないもの」というより「見るほどでもないもの」という棚に置いておくべきか。 (ついでに借りてきた「プルガサリ」が佳作に見えてしまったりする効果はあった…ウソ)
by htmkuromame
| 2005-08-29 07:58
| 極私的映画感
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