|
ひとことで言ってしまうとすべてにおいて「平凡」な作品だった(このあまりにもべたなタイトルが物語っている通り)。 まず、全体を通しての作りが、「お子様向け」を意識した部分と、親子や他者との葛藤を描こうとした部分がないまぜになって、なんともどっちつかずなのだ(よぶんなファンタジックな描写はすべていらないと感じた)。 脚本も演出もカメラワークも編集も平凡(オーソドックスという言いかたもできるが、それ以上に「冴え」の感じられる部分がなかった)。 そのために、役者陣、特に柳楽優弥の、まだけしてうまいとはいえない演技をフォローして、いい芝居に見せるだけの演出がまったくできていない。 もともとどうしようもない役者であれば、監督がいくらがんばってもそれ以上のものに見せるべくもないが、柳楽の目の力などを見ていれば、監督の腕次第でいくらでもいいものを引きだせる素材のはずだ。 役者が下手に見えてしまうのは、今回はどう見ても演出者の責任だと思う。 タイのゾウ学校でのエピソードも、もっと膨らませてもよかった。いや、むしろ、日本の場面をもっと刈り込んで、そちらを主体にしてしまった方がよかったのではないだろうか(ウルルン滞在記の方が、見せかたはもっとうまいぞ)。 作り方次第では、もっと「素朴だが力強い映画」になっていたかも知れないのに、もったいない。 救いは、タイの景色の美しさと坂本龍一の音楽、そして、もとになったお話が「いい物語」だったことであろう。
by htmkuromame
| 2005-08-30 18:44
| 極私的映画感
|
ファン申請 |
||