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子どもの頃は、家の近所に桑畑が沢山あった。養蚕が盛んだったから、お蚕さんに与える桑もそれだけ栽培されていたわけだ。 この辺りに限らず、信州だったらごく普通の風景だったはずだ。 梅雨時になると、その桑の木に紫色をした実が沢山ついて、熟れるとぽろぽろと地面に落ちて辺りを染めていた。 こどもたちは、それをつまんで食べては、舌を紫色にして親に怒られていたものだ。いわゆる「ドドメ色」というやつである。 今では、ジャムにしていい値で売られているくらいだから、特にからだに悪いということもないのだろうが、口だけでなく、着ているものに色が付くのを親達は嫌ったのかもしれない。 桑の木も、放っておくと見上げるような大木になってしまう。神奈川の田舎の親類の家の回りに桑の大木が何本かあって、実が地面一杯に落ちていてそれが桑だと気づいて驚いたことがある。 その木も、しばらく前に行った時には切られてしまっていたが。 わが家の、鉢植えの枝垂れ桑の木に、今年も実がいくつか生った。 口にしてみると、こんな味だったかなあという、心もとないような独特な甘味が舌に残った。
by htmkuromame
| 2004-06-08 21:20
| 雑多な感
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