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「奥山のもみじ踏み分け鳴く鹿よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす」 なんて都々逸の文句があるが、身近で蛍を見ることも滅多になくなってしまった。 子どもの頃は、少し離れたところにある川の方から飛んできたらしい蛍が、わが家の庭でもほのかに光っているのが見られたもだが、小さな川まで護岸がコンクリートに変りはじめた頃からまったく見なくなってしまった。 今では、「蛍が見られるので有名」なところまで、わざわざ出かけて行かなくてはならない。 川岸の草むらや夜空を、無数の青緑の光が明滅しながら漂う光景には、幽玄という言葉が良く似合う。何となく、この世とあの世の間を結ぶ光のようにも見える。 その中に混じる、大きな青い光は、見物人の手にした携帯電話だ。時々カメラのフラッシュも光る。フラッシュなぞ焚いたら、蛍の光は写らない。とんだ野暮である。 でもまあ、蛍は目立つだけまだ優遇されている方だろう。各地で、親水公園が造られ、増やす努力もされているのだから。 人目につきもせず、ひっそりと姿を消して行っている虫は、その何倍もいるのだろう。 しぶとく増え続けているゴキブリも、光でも放てば、少しは「もののあわれ」を感じてもらえるのかもしれない。 無理かな。
by htmkuromame
| 2004-06-14 10:54
| 雑多な感
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