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長年の「謎」、といっても、そうたいした話ではない。 これ、 のことである。 いわゆる「蚊やり」なのだが、これの正体が果たして何なのかということ。 「そんなの、豚に決まってるじゃん」 おや、あなたもそう思いますか? そう、確かにこれは世間では「蚊やり豚」という名称で通っている。だがしかし、これが「豚」である、という根拠は何なのか、答えられる人はいるのだろうか? 丸っこい形と、正面を向いた大きな鼻?いやいや、よく見て欲しい。あれは鼻ではなく、口なのである。鼻は、どこにもない。 何故、「蚊やり」が「豚」でなければならないのか?いくら調べても、まだ答えに行き着いていない。 わずかに民俗学の本の中に「豚は火伏せの神ということに関係あるのかも」という文章を見ただけである。火伏せと蚊いぶしでは、関連がありそうななさそうな。 しかも(と、強調するほどのことでもないが)、昔の蚊やり豚は、今のものとはかなり形が違っていたらしい。 もっとも、江戸時代の蚊やりは、中でヨモギやら何やら焚いて煙で蚊を追い払うものだったので、動物の形ですらなかったようだ(様々な形の絵が残っている)。 丸い渦巻き型の蚊取り線香を吊るすのに、豚の形がよかったのでは、という方もいるだろう。だが、今の渦巻き型の蚊取り線香が出現するには、明治28年まで待たねばならない。 「蚊やり豚」が、その頃の出現だとして、その時誰が今の形にしようと思ったのか。 もともとは、常滑焼だったらしいが、その常滑の養豚場で蚊いぶしに使われたからとか、土管を利用していたのが次第に今の形になったのだというような説がいくつかあるのだが、この説からは「蚊やりが豚の形になった訳」までは行き着くが、「蚊やりが豚である必然性」にまでは手が届かない。 今のように、蚊やりが「猫でも金魚でも、タイガースの虎でもいいや」という時代の話ではない。まだ、物の形が決まるのには、何らかの必然性(迷信にしろ何にしろ)があった頃に生まれてきた代物なのだ。 で、何故、「これは果たして豚なのか?」という疑問を抱いたきっかけなのだが、もう十数年も前、ラジオで誰かが「あれは豚ではなく、実は『獏』なのです」と言っているのを耳にしてしまったからなのだ。 「夜中に、悪夢のごとくやって来る蚊を食う動物、それは、まさに『獏』しかないではないか!」 と、感激とともに納得したのだが(大げさな)、それを言ったのが誰だったのか、流し聞きしていたラジオだったので、聞きそびれてしまったのだ。 そして、それ以後、一度たりとも、これが「獏」だと言う人にお目にかかったことがない。 「蚊やり豚は本当に豚なのか?」という、大いなる疑問(私にとってだけではあるが)。 誰か、明確に答えてくれる人はいないのだろうか?
by htmkuromame
| 2004-07-21 18:02
| 雑多な感
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